虹の村診療所は長野県安曇野市にある心療内科・精神科の診療所です。ここでは、心の病や人生の困難のために社会から「ひきこもる青年」たちに対して、医療と教育の両面からその心に働きかけ、青年及び関わる人々が生涯に亘って自己を学ぶ治療共同体として、診察やデイケアなどを行っています。今回、日本障がい者サッカー連盟(JIFF)が昨年行った地域連携会議から松本山雅FCとのつながりができました。その連携の様子を2回にわたってお伝えします。
すべては1本の電話から始まります。
今から4年前、虹の村のN君が、ソーシャルフットボール(精神障がいを抱えた人のフットサル)に関するNHKの特集を見て、この競技に強く惹かれるものを感じJSFA(日本ソーシャルフットボール協会)に電話で問い合わせたのです。長野県にはチームが無く、すぐに競技を始めることは出来ませんでしたが、約2年前協会より紹介された住吉病院を母体とするアトムズ甲府に合流します。甲府まで片道3時間、週末毎にN君は車を走らせて通い続けコーチやチームメイトの信頼を得る事ができました。そして2018年11月21日に東京で開催された第1回ソーシャルフットボール地域選抜選手権にチームの一員として参加したのです。
結果は8チーム中7位でしたが、大会後まもなくN君はソーシャルフットボールから得た感動と興奮を虹の村に持ち帰る事になります。
虹の村でもソーシャルフットボールがしたいと熱く語るN 君の姿に小林先生も心を打たれた様子でした。私自身も深く感じ入るところがありましたので、スタッフやスポーツワークのリーダー協力のもと会合を重ね、2019年3月より月に1度のフットサルワークが始まりました。これが虹の村におけるソーシャルフットボールの始まりです。
同年6月からは私自身もN 君と共にアトムズ甲府の練習に通い始め、9月には大阪で開催された第3回ソーシャルフットボール全国大会にヴルカーノ甲信(山梨・長野の合同チーム)の一員として参加する事になりました。
マネージャーとして同行したMさんは試合が始まると大きな声で選手を鼓舞しチームを盛り上げたり、重たい荷物も率先して運んだりと、その働きは本当に貴重なものでした。
大会後しばらく経った頃、アトムズ甲府の平井コーチの取り計らいでJIFF(日本障がい者サッカー連盟)が主宰する「9地域障がい者サッカー連携会議(北信越)」への招待を受けます。
虹の村診療所から代表として私が出席し、診療所におけるソーシャルフットボールの取り組みについて話す機会が与えられました。この会議には北信越内におけるJリーグの5クラブも出席していて、その1つが松本山雅FCでした。会合の後、名刺交換を行い帰路に着きましたが、平井コーチに報告したところ山雅の代表者として出席していた久保さんと面識があるので連絡してみますとの事でした。
程なくして久保さんから連絡がありました。クラブとして出来る事があればお役に立ちたいとの申し出に感謝しつつ、2020年2月13日、虹の村診療所でKさんと最初の会合を持つ事になります。デイケアランチを召し上がって頂き、陶苑に場所を移し小林先生を交えての会合が行なわれました。
その後、穂高会館でのフットサルワークを見学して頂く予定でしたが、コーチングを全てお任せしては?との思いが頭をよぎりお伝えしたところ、現地で合流した原コーチと共に快く引き受けてくださいました。
さすがはプロのコーチ陣!!参加者全員、終始笑顔が絶えず最高に楽しい時間となりました。
コロナウイルスの影響により3月から5月までフットサルワークは中断していましたが、6月より再開し再びご指導していただきました。今後も引き続き松本山雅FCからコーチングを受ける予定です。
虹の村診療所デイケア内におけるフットサルワークへの参加には、各種保険への加入が必須条件ですが、プロからのコーチングを受けるという滅多にない貴重な体験を是非皆さんにもしていただきたいと思います。
次回はフットサルワークと同時進行で進展している松本山雅と虹の村の取り組みについてお話します。
プロジェクトリーダー 山田顕司