理事長挨拶

他の障がいと比べ、精神障がい者のスポーツ参加率は極めて低く、その内容もレクリエーションの範囲にとどまっていました。精神障がい者に対するスティグマは強いものがあり、支援者の多くはそのようなスティグマから当事者を守るのが使命であり、また当事者自身も負荷をかけず「無理しない」という考えが多くありました。この結果困難を回避することがいいことだという様式が主流となっており、スポーツもその考えの中にありました。 しかし、「障害や困難があるにせよ、心豊かに生活することを目指すことはできる」「勝って笑い、負けて泣く」「目標に向かってみんなで努力する」そんな当たり前の姿を取り戻すという考えが各地で芽生え始めました。

弊法人は、無用な配慮はせず、当たり前のスポーツを行うことで当事者の成長・回復を促し、当事者自身が自己表現することでスティグマの解消を、さらには障がいのあるなしにかかわらずみんなが心豊かに生活できる社会の実現を目指し2013年に設立されました。5年を経過し、2回の全国大会および国際大会を行い、全国には約160チーム、2000人の精神障がい当事者が精神障がい者フットボールを楽しむまでになりました。その中で各地の選手がSNSを通じて自分の意見を発信し、日本代表選手となったのちに海外のフットサルリーグに参入する選手も生まれました。また、一般社団法人日本障がい者サッカー連盟(JIFF)の加盟団体として、7つの障がい者サッカーが一団となって共生社会の実現に向けて活動しています。

しかし未だに精神障がい者全般においては、病気になったことから自分に自信が持てない、自分には価値がないと思ってしまう人が多くいます。フットボールを通じて自信を持ち、仲間を持った人がモデルケースとなり、「自分にもできるかも」と思ってもらえるような好循環がもっともっと拡がっていくことを期待しています。

精神障がいは誰もがなりえるものですが、「自分は違う」と考えがちです。しかしうつ病における年間の損失額は2兆7000億にも上る調査結果が示されており、日本でも精神疾患は重点5疾患に指定されています。うつ病になり復職してきた人に対し、当人は「周囲にどう見られるのか」と思い、周囲は「どう対応していいかわからない」と遠慮することで当人の孤立感はますます深まってしまい、結果社会的な損失にもつながってしまいます。私たちは、フットボールを通じてこのような社会的課題の解決に力を尽くしたいと考えています。

一緒にボールを蹴る間はみんな「プレーヤー」です。まずは一緒にボールを蹴ってみることから始めませんか?

NPO法人日本ソーシャルフットボール協会
理事長 佐々毅